2026.08.28(Fri) がんじゅ
「考えすぎて疲れてしまう…」そんな方へ| 生活訓練 で取り組むMCT(メタ認知トレーニング)とは?
「考えすぎて疲れてしまう…」そんな方へ| 生活訓練 で取り組むMCT(メタ認知トレーニング)とは?
「相手の一言がずっと気になってしまう」
「悪く思われたのではないかと考え続けてしまう」
「一度失敗すると、何度もそのことを思い出してしまう」
「頭の中でいろいろ考えているうちに、疲れてしまう」
精神障害や発達障害のある方とお話ししていると、このような悩みを聞くことがあります。
もちろん、物事をよく考えることは大切です。
しかし、ときには考え方のクセによって、必要以上に不安になったり、気持ちが疲れてしまったりすることがあります。
そこで今回は、 生活訓練 のプログラムの一つであるMCT(メタ認知トレーニング)についてご紹介します。
MCT(メタ認知トレーニング)とは?
MCTは「Metacognitive Training」の略で、日本語では「メタ認知トレーニング」と呼ばれています。
メタ認知とは、簡単にいうと、
「自分が今、どのように考えているのかを、一歩引いて見てみること」
です。
例えば、
「スタッフに挨拶したけれど、反応が薄かった」
という出来事があったとします。
そのとき、
「嫌われているのかもしれない」
と考えることもできます。
一方で、
「たまたま忙しかったのかもしれない」
「何か別のことを考えていたのかもしれない」
という可能性もあります。
このように、一つの出来事に対して、いろいろな見方ができることに気づくことが、MCTの考え方の一つです。
「考え方を変えなければいけない」という訓練ではありません
MCTという言葉を聞くと、
「ネガティブな考え方をポジティブに変える訓練なのかな?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、必ずしもそうではありません。
大切なのは、
「自分の考え方だけが唯一の答えとは限らない」
ということに気づくことです。
「自分はこう考えた」
ということと、
「実際に起きたこと」
は、同じとは限りません。
その違いに気づくことで、物事を少し違った角度から見られるようになることがあります。
例えば、こんな「考え方のクセ」があります
人は誰でも、物事を判断するときにさまざまな思考のクセを持っています。
例えば、
- 一つの出来事から「きっとこうだ」と決めつけてしまう
- 悪い結果ばかりを予想してしまう
- 一度の失敗を「いつも失敗する」と考えてしまう
- 相手の気持ちを想像して「きっと嫌われた」と考えてしまう
- 自分に起きたことを必要以上に自分の責任だと考えてしまう
こうした考え方は、誰にでも起こる可能性があります。
重要なのは、
「こんな考え方をしてしまう自分はダメだ」
と自分を責めることではありません。
「今、自分はこういうふうに考えているな」
と気づくことから始めます。
「事実」と「自分の解釈」を分けて考えてみる
MCTを考えるうえで、分かりやすい方法の一つが、
「実際に起きたこと」と「自分が考えたこと」を分けてみる
ことです。
例えば、
事実:友人にメッセージを送ったが、すぐに返信がなかった。
解釈:自分のことを嫌っているのかもしれない。
この二つは同じではありません。
返信がない理由は、忙しい、スマートフォンを見ていない、返信する内容を考えているなど、ほかにも考えられます。
もちろん、本当に距離を置かれている可能性もあります。
大切なのは、最初に浮かんだ一つの考えだけで結論を決めないことです。
考え方の「選択肢」を増やす
MCTで目指したいことの一つは、考え方の選択肢を増やすことです。
例えば、
「失敗した。もう自分には無理だ」
と考えたときに、
「今回はうまくいかなかった」
「どこが難しかったのだろう?」
「次はどうすれば少しやりやすくなるだろう?」
という別の見方を考えてみることができます。
無理に前向きになる必要はありません。
「別の見方もあるかもしれない」
と思えるだけでも、考え方の幅は広がります。
考え方が変わると、行動の選択肢も増える
私たちは、物事をどう捉えるかによって、その後の行動も変わることがあります。
「どうせ失敗する」
と思えば、挑戦することを避けるかもしれません。
一方で、
「失敗するかもしれないけれど、まずやってみよう」
と思えれば、小さな行動につながることがあります。
だからこそ、 生活訓練 では「何かをできるようにする」だけではなく、
自分の考え方や感じ方を知ること
も大切にしています。
生活訓練 では、安心できる環境で一緒に考えます
「自分の考え方のクセを一人で見つけるのは難しい」
という方もいると思います。
だからこそ、プログラムの中で他の人の意見を聞いたり、スタッフと一緒に考えたりすることに意味があります。
「自分はこう思ったけれど、他の人は違う見方をしている」
という経験も、自分の考え方を知るきっかけになります。
もちろん、無理に自分の意見を話す必要はありません。
まずは聞いているだけでも構いません。
「考えすぎてしまう自分」を責めなくても大丈夫
考えすぎてしまうことには、その人なりの理由があるかもしれません。
失敗しないように慎重になっているのかもしれません。
人との関係を大切にしているからこそ、相手の反応が気になるのかもしれません。
大切なのは、
「考えすぎる自分を変えなければ」
と焦ることではありません。
まずは、
「自分は今、こう考えているんだな」
と気づいてみる。
そこから、別の見方や別の選択肢を一緒に探していきます。
SSTとMCT、それぞれ違った角度から生活を支えます
前回の記事では、SST(ソーシャルスキルトレーニング)についてご紹介しました。
SSTでは、人との関わり方やコミュニケーションについて考えます。
一方、MCTでは、自分の考え方や物事の捉え方について考えます。
どちらも、
「自分らしく地域で生活していくための選択肢を増やす」
という点では共通しています。
生活訓練 では、このようなさまざまな経験を通して、自分に合った生活の方法を一緒に探していきます。
「考えすぎて疲れる」というところからでも大丈夫です
「人との関係でいつも悩んでしまう」
「失敗すると、ずっと引きずってしまう」
「考えすぎて行動できなくなる」
「もっと楽に物事を考えられたらいいのに」
そんな方にとって、MCTが自分自身を知るきっかけになることがあります。
生活訓練 は、何かが「できるようになってから」通う場所ではありません。
今の自分を知り、少しずつできることや選択肢を増やしていく場所です。
当事業所では、精神障害や発達障害のある方を中心に、SST、MCT、外出プログラム、生活や社会について知識を増やすプログラムなどを行っています。
「自分にも合うかもしれない」
「少し話を聞いてみたい」
と思った方は、まずはお気軽にご相談ください。
ご本人だけでなく、ご家族や相談支援専門員の皆さまからのご相談も受け付けています。
