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2026.08.19(Wed) がんじゅ

学校では見えなかった「本人の強み」が見えてきた| 尼崎市の 就労選択支援 の現場から

学校では見えなかった「本人の強み」が、作業体験で見えてきた。

「学校では、あまり集中できないと言われています」 「人と関わることも苦手で……」 就労選択支援 の相談では、こうしたお話を保護者の方や学校の先生から伺うことがあります。 もちろん、学校で見えている姿は、その人の大切な一面です。 家庭で見える姿も、支援機関で見える姿も、それぞれ本人を理解するための大切な情報です。 ただ、私たちは 就労選択支援 の現場で、もう一つ大切にしていることがあります。
「できるか、できないか」だけではなく、「どんな環境なら、その人の力が発揮されるのか」を見てみる。
今回は、 就労選択支援 の現場で起こる、そんな「小さな発見」の一例をご紹介します。 学校では見えなかった本人の強み。 就労選択支援

「集中できない」と言われていた人

あるケースを、個人が特定されないよう内容を再構成してご紹介します。 その方は、学校では「長時間集中することが苦手」という評価がありました。 本人自身も、 「自分は集中力がないと思います」 と話していました。 そのため、当初は本人も「自分は働くことに向いていないのではないか」という不安を持っていました。 ところが、作業体験を始めると、少し違った姿が見えてきました。  

作業が始まると、黙々と取り組んでいた

その日の作業は、比較的単調で、同じ工程を繰り返す作業でした。 最初は「できるかな」と不安そうにしていましたが、手順を説明すると、少しずつ作業を始めました。 そして、しばらくすると……。 周囲を気にすることなく、黙々と作業を続けています。 一度覚えた手順については、丁寧に確認しながら進めています。 作業が一区切りついたところで、こちらから声をかけると、 「ここまで終わらせてから休憩してもいいですか?」 という言葉が出ました。 「集中できない」という最初の情報だけを見ていたら、この姿には気づけなかったかもしれません。  

「集中できない」のではなく、「集中できる条件」が違った

もちろん、この一場面だけで「この人は集中力が高い」と結論づけることはできません。 就労選択支援 で大切なのは、一つの場面だけを切り取って評価することではないからです。 どんな作業なら取り組みやすいのか。 どのくらいの時間なら集中しやすいのか。 どのような声かけがあると安心できるのか。 疲れてきたときには、どんな変化が見られるのか。 複数の場面を経験し、本人と一緒に振り返っていきます。 すると、「集中できない」という一言では表現できなかった本人の特徴が、少しずつ見えてきます。
「できない」のではなく、「その力が発揮される条件がまだ分かっていない」だけかもしれません。  

アセスメントは「評価すること」だけではない

アセスメントという言葉を聞くと、「本人を評価すること」とイメージされる方もいるかもしれません。 もちろん、現在の状態を把握することは重要です。 しかし、私たちが大切にしたいのは、それだけではありません。 「この人は、どんな環境なら力を発揮できるのだろう?」 という視点です。 静かな環境の方が集中できる人。 作業の手順が見えると安心できる人。 一人で取り組む方が力を発揮できる人。 反対に、人と一緒に取り組むことで力を発揮できる人。 同じ「働く」という場面でも、力を発揮する条件は一人ひとり違います。  

本人自身が「自分の強み」に気づくこと

そして、もう一つ大切なのが、支援者だけが本人の強みを見つけるのではなく、本人自身が気づくことです。 「自分は集中できないと思っていたけれど、こういう作業ならできるんだ」 「一人で作業すると、意外と落ち着いてできる」 そんな気づきが、本人の自己理解につながっていきます。 就労選択支援 で私たちが目指しているのは、支援者が「あなたにはこれが向いています」と決めることではありません。 本人が自分自身を知り、 「自分はこういうことが得意なのかもしれない」 と、自分の言葉で語れるようになることです。  

学校と 就労選択支援 は、どちらが正しいのか?

ここで誤解していただきたくないことがあります。 これは、「学校での評価が間違っていた」という話ではありません。 学校には学校だからこそ見える本人の姿があります。 家庭には家庭でしか見えない姿があります。 そして、作業体験や就労場面には、そこで初めて見えてくる姿があります。 大切なのは、どれか一つを正解にすることではありません。 いろいろな場面で見えた本人の姿を重ね合わせることで、より立体的に本人を理解していくこと。 それが、 就労選択支援 におけるアセスメントの意味の一つだと私たちは考えています。  

まとめ

「集中できない」 「人と関わることが苦手」 「働くことは難しいかもしれない」 そんな言葉だけでは、その人のすべてを表すことはできません。 環境を変えてみる。 作業を変えてみる。 少し待ってみる。 本人の言葉を聞いてみる。 そうすることで、今まで見えていなかった強みが見つかることがあります。 私たちは、就労選択支援を通して、そんな「まだ見えていない本人の姿」を一緒に探していきたいと考えています。
その人の可能性は、「今できていること」だけでは決まりません。

次回予告

次回は、少し違ったケースをご紹介します。 「働きたくない」と話していた本人。 しかし、よく話を聞いていくと、本当に「働きたくない」のではなく、別の思いを抱えていることが分かってきました。 「働きたくない」のではなく、「働くのが怖かった」。 就労選択支援 では、本人が発した言葉だけで判断せず、その背景にある思いにも目を向けます。 次回は、そんな「本人の言葉の奥にあるもの」について、現場の視点からお伝えします。  

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